縁起物を買ったあと、置き場所で止まる人がかなり多い。
買うところまでは調べる。置き方は書いていないことが多い。
神崎は──私は神社と浄化の作法を扱う仕事をしているので、この相談は年間を通して受ける──最初に伝えるのは、方角の話ではない。
手が届いて、拭ける場所に置く。
なぜ掃除が第一条件なのか
理由は単純で、縁起物は埃をかぶった時点で意味が変わるとされるからだ。
大切にしているものとして置いたはずが、放置されているものになる。これは家の中の他のものと同じで、扱いが見た目に出る。
高い棚の奥に置くと、方角は合っていても手が届かない。届かないと拭かない。半年後には埃をかぶっている。
だから順番はこうなる。
- 拭ける場所を選ぶ
- そのなかで高さを決める
- 余裕があれば方角を合わせる
方角を最初に決めると、この順番が崩れる。
高さの考え方
一般的に言われるのは、目線より少し高くというものだ。
見下ろす位置に置かない、という趣旨になる。床置きが避けられるのも同じ理由による。
ただし天井近くまで上げる必要は無い。手が届く範囲の上限、くらいが実際には扱いやすい。
棚の上、タンスの上、飾り棚。このあたりが現実的な選択肢になる。
避けるとされる4つの場所
方角より先に、この4つを外すほうが効く。
一、床に直接置く。 見下ろす位置になる。掃除機をかけるときに動かすことにもなる。
二、水回り。 湿気で傷む。実用面でも縁起の面でも避けられることが多い。
三、扉の真後ろ。 開閉のたびに風と埃が当たる。倒れる可能性もある。
四、埃をかぶる場所。 テレビの裏、本棚の奥、エアコンの真下。
四つ目が最も多い。置いた時点では見えていても、生活のなかで死角になる場所がある。
方角の話
方角を気にしたい場合、金運の文脈でよく挙がるのは西と北になる。
西は実りに関わるとされ、北は水の方位として蓄えに関わるとされる。以前北を片づけた話でも触れた考え方だ。
ただし流派によって言われ方が違う。東北を重視する説もあれば、家の中心からの方位で見る説もある。
一致していないものを厳密に守ろうとすると、置けなくなる。
方角は「同じ条件の場所が二つあるとき、どちらにするか」を決める材料くらいに考えておくと扱いやすい。
向きをどうするか
置物の向きについては、部屋の内側に向けるという言い方が多い。
福を招き入れる、という連想からきている。玄関の外を向けて置くと、出ていく方向になるとされる。
これは覚えやすいので守っていい。ただ、招き猫のように「外を向ける」とされるものもあり、品物によって説明が違う。付属の説明があれば、それが優先になる。
お守りと御札は別扱い
縁起物と一緒にされがちだが、扱いが違うものがある。
御札は神棚、またはそれに準じる高く清浄な場所に立ててお祀りする。 置物と並べて横に寝かせるものではない。
お守りは持ち歩く前提のものが多い。財布に入れるカード型もある。以前財布に入っていないもので書いたが、御札を財布に入れるのは想定された形ではない。
迷ったら、授かった社寺で聞くのが早い。
数を増やさない
複数の社寺の縁起物を並べてよいか、という質問もよく受ける。
並べても差し支えないとする考え方が一般的だ。神々が争うという発想は、日本の民間信仰では一般的ではない。
ただ、実務的な理由で数は絞ったほうがいい。増えるほど手入れが行き届かなくなる。
一つを毎月拭くほうが、五つを年に一度拭くより、扱いとしては丁寧になる。
古くなったら
年月が経ったものは、授かった社寺へお返しするのが基本とされる。
市販の置物は、受け付けの範囲が社寺によってまったく違う。事前に確認するのが確実で、断られることも普通にある。
その場合は、感謝を伝えたうえで、自治体の区分に従って処分して差し支えないとされる。
今週やること
すでに置いてあるものを、一度手に取ってみてほしい。
埃がついていたら、置き場所を変える合図になる。
拭いて、届く場所に移す。方角はそのあとでいい。
✦ この記事のまとめ
縁起物は目線より高く、清潔で、手が届く場所に置くのが基本とされます。高すぎて掃除できない場所は避けます。
避けるとされるのは床置き・水回り・扉の真後ろ・埃をかぶる場所。方角より先に、この4つを外すほうが効きます。



