親との関係を説明するのに、強い言葉が使われることがある。
その言葉で救われる人がいるのは知っている。名前がつくと、自分がおかしいのではないと分かる。整理はそこから進む。
ただ、名づけたあとで止まる人も見てきた。
名づけたあと、動く先が無い
藤本は──私は個人の相談を受けているので、この止まり方をよく見る──理由はわりとはっきりしている。
判定の言葉には、次の一手が含まれていない。
悪い関係だと判定すると、選択肢が二つになる。我慢して続けるか、切るか。
どちらも重い。重いので、決められない。決められないまま、判定だけが残る。
二軸で見る
だから私は、良い・悪いではなく、二つの軸で見ることを勧めている。
頻度 — どれくらい会うか、連絡を取るか 深さ — どこまでの話をするか
この二つは、独立して決められる。
月に一度会うが、深い話はしない。年に一度しか会わないが、会えば全部話す。どちらも成立する。
近いか遠いかではなく、頻度と深さの組み合わせとして捉えると、間に無数の選択肢が現れる。
深さを先に下げる
やりやすいのは、深さのほうになる。
頻度を下げると、相手が気づく。気づくと、理由を聞かれる。そこで説明が要る。
深さは、気づかれにくい。
- 仕事の詳しい話をしない
- 交際相手の話をしない
- お金の状況を言わない
- 相談を持ちかけない
会う回数が同じでも、これだけで消耗はかなり減る。
言わないことは、嘘ではない。 ここを混同すると、話さないこと自体に罪悪感が出る。
頻度を下げるとき
深さを下げても足りないときに、頻度に手をつける。
急に減らさない。一段ずつ下げて、そのつど様子を見る。
毎週の電話を、隔週にする。月一の訪問を、二か月に一度にする。
理由は説明しなくていい。聞かれたら「忙しくて」で足りる。詳しい理由を用意すると、反論の材料になる。
実家に帰る日の決め方で書いたが、回数を減らす代わりに一回を短くする、という調整もある。相手からの見え方が変わりにくいぶん、こちらの負担だけ減らせる。
元に戻してもいい
これは書いておきたい。
距離は、一度決めたら固定しなければならないものではない。
体力があるときは近づき、しんどいときは離れる。年によって変えていい。
戻せると分かっていると、離れる決断がしやすくなる。 一方通行だと思うから、動けなくなる。
数字の型による違い
数秘の話を少し使う。
人との距離を、内側で決める型と、関係の中で決まる型がある。
内側で決める型の人は、線を引くこと自体はできる。ただ、引いたあとに罪悪感が出やすい。
関係の中で決まる型の人は、線を引くのが難しい。相手の反応が入ってくると、決めたはずの線が動く。
後者の場合、線を紙に書いておくと保ちやすい。頭の中だけだと、会っている最中に上書きされる。
安全が関わるとき
最後に、これだけは分けておく。
暴力、脅迫、経済的な支配。ここに該当する場合は、距離の調整の話ではない。
自治体の相談窓口、警察、専門機関に持っていく。一人で測ろうとしないでほしい。
二軸の話が使えるのは、安全が確保されている範囲になる。
今週やること
ふたつ。
ひとつ、頻度と深さのどちらが重いかを決める。 会う回数か、話す内容か。
ふたつ、深さのほうから一つだけ下げる。 話さないことを一つ決める。
判定の言葉は使わなくていい。使わないほうが、次の一手が出やすいことがある。
✦ この記事のまとめ
関係を良い・悪いで判定すると、選択肢が「続ける」か「切る」の二つになります。頻度と深さを別々に決めると、間の選択肢が生まれます。
強い言葉で名づけることは整理を進めますが、名づけたあとに動く先がないと止まります。二軸は、その次の一手になります。



