財布を新しくしようとして「金運にいい日」を検索した人は、たいてい同じところでつまずく。

寅の日、巳の日、己巳の日、一粒万倍日、天赦日。候補が多すぎて、どれを選べばいいか分からなくなる。

このうち、寅・巳・己巳の三つは干支から来ているという共通点があり、それゆえに混同されやすい。けれど、由来も役割も違う。

まず、この三つを分けるところから始めたい。

寅の日は「出したお金が戻る」日

十二支は、年だけでなく日にも割り当てられている。寅の日は十二日に一度巡ってくる。

寅、つまり虎は、「千里行って千里戻る」と言われる。この言い回しから、出したものが戻ってくる日と結びつけられてきた。

だから寅の日は、支出や出発に向くとされる。

  • 財布を使い始める
  • 旅に出る
  • まとまった買い物をする
  • 開業や出店をする

逆に、戻ってきてほしくないものには向かないとも言われる。結婚を寅の日に避ける地域があるのは、「嫁いだ娘が戻ってくる」という連想からだ。

十二日ごとなので、月に二回か三回ある。金運の吉日の中では、いちばん巡りが早い。

巳の日は弁財天の縁日

巳、つまり蛇は、弁財天の使いとされてきた。

弁財天は、もとはインドの河の神で、日本では音楽・弁舌・財の神として祀られる。銭洗いで知られる社の多くが弁財天を祀っているのは、この流れによる。

巳の日も十二日に一度巡る。この日は、貯めることと願うことに向くとされる。

  • 銭洗いに行く
  • 財布に新しいお札を入れる
  • 貯蓄用の口座に入金する
  • 金運の祈願をする

寅の日が「出す」側なら、巳の日は「収める」側にあたる。方向が逆だと考えると整理しやすい。

己巳の日は、六十日に一度

ここまでは十二支だけの話だった。

暦には、十二支とは別に十干がある。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十種類だ。

この十干と十二支を組み合わせると、六十通りになる。六十日で一巡し、また同じ組み合わせに戻る。還暦が六十歳なのは、この一巡が由来だ。

十干の「己」と十二支の「巳」が重なる日を、己巳の日という。

六十日に一度なので、一年におよそ六回。巳の日の中でも特に弁財天の縁日として重んじられ、この日に限って特別な祭事を行う社もある。

「巳の日より強い巳の日」と考えると分かりやすい。

三つの使い分け

整理すると、こうなる。

吉日巡り向くとされること
寅の日12日に1度出す・始める・買う・旅立つ
巳の日12日に1度貯める・納める・願う
己巳の日60日に1度巳の日の中でも特に重んじられる

大事なのは、先に「何をしたいか」を決めることだ。

日を先に決めて、それから何をするか探すと、たいてい何もしないまま日が過ぎる。財布を替えたいのか、貯蓄を始めたいのか、願をかけたいのか。目的が決まれば、選ぶ日はひとつに絞れる。

2026年後半から2027年の該当日

干支日は六十日周期で機械的に決まるため、市販の暦やカレンダーアプリで確認できる。

寅の日と巳の日は十二日ごとなので、ひと月にそれぞれ二〜三回。己巳の日は年に六回前後で、これだけは意識して押さえておく価値がある。

具体的な日付は、必ず一次の暦で確認してほしい。 暦の版によって表記がわずかに異なることがあり、ウェブ上の一覧には誤りが混ざっていることもある。国立天文台が公表している暦要項は、二十四節気や朔弦望などの天文由来の日を確認するのに使える。干支日は市販の暦が確実だ。

一粒万倍日・天赦日との違い

よく並べて語られる一粒万倍日と天赦日は、干支日とは別の系統にある。

一粒万倍日は選日と呼ばれるもので、干支の組み合わせと月から決まる。天赦日も選日のひとつで、年に五回か六回しかない。

これらは干支日と重なることがあり、「寅の日かつ一粒万倍日」といった日が生まれる。重なりを強いとする考え方が一般的だが、これも流派による。

一粒万倍日と天赦日については、次回に詳しく扱う。

避ける日も知っておく

吉日を探す前に、避ける日を知るほうが早いという考え方もある。

不成就日という、何事も成就しないとされる日がある。吉日と重なることもあり、その場合の扱いは流派で分かれる。

これも回を改めて扱う。

今週、ひとつだけ

今月の寅の日と巳の日を、カレンダーに入れてみてほしい。それだけでいい。

入れておくと、たとえば財布を替えようと思ったときに、「次の寅の日は五日後だから、それまで待とう」という判断ができる。

待てる、というのが実は大きい。急いで決めた買い物ほど、あとで後悔しやすい。

暦は、決断を少しだけ遅らせる装置としても働く。


金運の暦・第2回は、〈一粒万倍日〉と〈天赦日〉が重なる日を扱います。2027年に何日あるのか、その日に向くこと・向かないことを整理します。

✦ この記事のまとめ

金運の吉日には寅の日・巳の日・己巳の日があり、由来も役割も違います。ひとつの「いい日」として混ぜると使い分けができません。

おおまかには寅の日=出す日/巳の日=貯める日・願う日/己巳の日=その両方が重なる日と整理できます。まず自分が何をしたいかを決めてから、日を選ぶ順序が要ります。

よくある質問

寅の日と巳の日、どちらが金運にいいですか?
目的が違うため優劣はつけられません。寅の日は「出したお金が戻る」とされるので支出や出発に、巳の日は弁財天の縁日として貯蓄や願い事に向くとされます。何をしたいかを先に決めてください。
己巳の日は年に何回ありますか?
十干の「己」と十二支の「巳」が重なる日で、60日に一度巡ります。したがって1年におよそ6回です。年により回数が前後します。
吉日と不成就日が重なったらどうすればいいですか?
考え方は流派により異なります。重なりを避ける立場と、吉日が優先されるとする立場の両方があります。気になる場合は重ならない日を選ぶのが無難です。