財布を替えようと思って検索すると、まず「秋がいい」という話が出てくる。

そのあとに「寅の日に使い始める」「一粒万倍日がいい」「寝かせてから使う」と続いて、結局いつ何をすればいいのか分からなくなる。

順番を整理したい。結論から言うと、買う日はそれほど重要ではない。決めるべきは、使い始める日のほうだ。

「秋財布」はどこから来たか

秋に財布を替えるとよいとされる理由は、二つ語られる。

ひとつは、実りの季節だという連想。稲が実り、収穫がある季節に、財を入れる器を新しくする。

もうひとつは語呂だ。「秋」に「実り」がかかり、財布が**「張る財布」**になるという言い方がある。中身が張る、つまり膨らむ、という掛け方だ。

ここで注意しておきたいのは、これが社寺の定めた作法ではないということだ。神崎は──私は神社と浄化の作法を扱う仕事をしているので、この手の質問を毎年受ける──こういう言い伝えを否定はしないが、由来ははっきりさせるようにしている。

秋に替えなかったから悪い、ということはない。

春財布・その他の言い方

同じ語呂の系統で、春に替える「春財布(張る財布)」という言い方もある。

秋と春、両方に「いい」とされる説があるということは、要するにいつでもいいということでもある。

こういうとき、私は言い伝えの真偽を争うより、実務的に何が効いているかを見るようにしている。

財布の買い替えで実際に効いているのは、季節ではない。

効いているのは「区切り」

財布を替えるという行為には、副産物がある。

中身を全部出すことになる。

古い財布から新しい財布へ移すとき、人は必ず一度、中身を並べる。レシート、期限切れのポイントカード、使っていない診察券、何年も前のお守り。

この仕分けが、実際には効いている。

季節の言い伝えは、この仕分けを年に一度やるための口実として機能してきた、というのが私の見方だ。

だから「寝かせる」に意味が出る

新しい財布を買ってすぐ使わず、数日から数週間寝かせる、という話がある。

その間に種銭を入れておく、暗いところに置く、といった作法が語られることもあるが、これも地域や流派で違う。

私が勧めるのは、もっと単純な理由からだ。

寝かせる期間があると、仕分けの時間ができる。

買ってその場で移し替えると、たいてい全部そのまま移る。数日空けると、一度立ち止まって「これは移すのか」と考えることになる。

期間の長さに決まりはない。数日でいい。

使い始める日をどう選ぶか

ここで暦を使う。

金運の吉日には、大きく分けて二つの方向がある。

  • 寅の日 — 出したお金が戻るとされる。使い始めに向くとされることが多い
  • 巳の日 — 弁財天の縁日。貯めること・納めることに向くとされる

新しい財布を使い始める日としては、寅の日を選ぶ人が多い。「出したお金が戻る」という性質が、財布という器の役割に合うと考えられるからだ。

一方で、貯蓄を意識したいなら巳の日を選ぶ、という考え方もある。

どちらでも構わない。ただ、どちらか一方に決めて、混ぜないほうがいい。両方調べると、候補日が増えすぎて、また決められなくなる。

寅の日も巳の日も十二日に一度なので、財布を買ってから一週間以内に、たいていどちらかが来る。

古い財布をどうするか

新しいものを使い始めたあと、古い財布が引き出しに残る。ここで止まる人が多い。

三つの選択肢がある。

そのまま処分する。 個人情報の入ったカード類を抜いたうえで、自治体の区分に従って出す。これで問題はない。

お焚き上げに出す。 神社によっては、お守りや御札以外の品を受け付けている場合がある。ただし受け付けの範囲は社によってまったく違うので、事前に確認が要る。断られることも普通にある。

取っておく。 使わないまま保管する人も多い。ただし、引き出しの中に何年も溜まっている場合は、それ自体が仕分けの対象になる。

今週やること

財布を替える予定があるなら、順番はこうなる。

  1. 買う(日は気にしなくていい)
  2. 数日置く。そのあいだに古い財布の中身を全部出して並べる
  3. 移すものを決める。レシートは全部抜く
  4. 次の寅の日(または巳の日)から使い始める

予定がないなら、2と3だけやってもいい。

財布を替えなくても、中身を並べる効果は変わらない。


金運の暦・第4回は、〈不成就日〉を扱います。吉日を探す前に「避ける日」を知るという順序について整理します。

✦ この記事のまとめ

「秋財布」は実りの秋と「張る財布」の語呂から語られてきた言い回しで、社寺が定めた作法ではありません。

実務的に効くのは使い始める日を自分で決めることです。買ってすぐ使わず数日寝かせるあいだに、古い財布の中身を仕分ける時間が生まれます。

よくある質問

財布はいつ使い始めるのがいいですか?
寅の日は「出したお金が戻る」とされ使い始めに向くと言われます。貯蓄を意識するなら巳の日を選ぶ考え方もあります。どちらか一方に決めて、混ぜないほうが迷いません。
新しい財布は寝かせたほうがいいですか?
寝かせること自体に決まった作法はありません。ただ数日置くと古い財布の中身を仕分ける時間ができるため、実務的な利点があります。
秋以外に買い替えてはいけませんか?
そうした決まりはありません。秋財布は語呂から広まった言い回しで、季節を外したから悪いということはありません。