一粒万倍日は、いい日として紹介されることがほとんどだ。
財布の使い始め、開業、新しいことを始める日。
ただ、この暦注には最初から但し書きがついている。
由来をたどると分かる
一粒万倍日の名前は、一粒の籾が育って万倍の稲穂になるという考え方から来ている。
そこから、この日に始めたことは大きく育つとされてきた。
ここで注意がいるのは、育つのは始めたこと全般であって、いいことに限定されていないという点になる。
籾は選ばない。蒔いたものが育つ。
避けるとされること
この理屈から、向かないとされてきたのが次のあたりになる。
借入をする。 増える性質が借金に働くとされ、最も広く語られている。
保証人になる。 同じ理由による。自分の負債ではないが、責任が増える形になる。
人から物を借りる。 借りたものが返しにくくなる、という言い方をされる。
諍いを始める。 揉め事も育つとされる。言い出すのを別の日にする、という使い方になる。
「縁起がいい日だから契約日にする」の逆
実務で見ていて、いちばん多い取り違えがこれになる。
融資の契約日を一粒万倍日に合わせる、というものだ。
縁起がいい日だから大きな話を通す、という発想からくる。ただ、この暦注の考え方からすると逆になる。
白川は──私は暦を扱う仕事をしているので、この相談を受けることがある──こう伝えている。
増やしたいものを始める日であって、抱えたくないものを始める日ではない。
もちろん、暦注が融資の可否を決めるわけではない。条件が良ければその日に決めていい。ただ、「縁起がいいから」を理由にするのは筋が違う、という話になる。
自分で選べない日は対象外
ここも押さえておきたい。
自動引き落とし、給与の振込、前から決まっていた会議。 こうしたものは対象として考えないのが一般的になる。
暦注は「自分から始めること」に対して語られてきた。日付を自分で選べないものまで含めると、暦のほうが生活を支配し始める。
この線引きをしておかないと、吉日を知ったことでかえって動きが鈍くなる。
不成就日と重なる日
一粒万倍日は年に60日前後あるので、不成就日と重なる日が毎年いくつも出てくる。
扱いは、はっきり分かれている。
- 打ち消し合うとする立場
- 吉日が優先されるとする立場
- 凶が優先されるとする立場
暦の版によっても記載が違う。どれが正しいとは言えない。
実務的な答えはひとつになる。
気になるなら、重ならない日を選べばいい。
一粒万倍日は年に60日前後ある。わざわざ重なった日を選ぶ理由が特に無い。
天赦日と重なる日
逆に、天赦日と重なる日は年に数日しかない。
「最強開運日」と呼ばれるのはこの日になる。
ただ、この日にも同じ但し書きがつく。増えてほしくないものは、なおさら始めない。 最強と呼ばれる日だからこそ、借入や保証をこの日に置くのは避けたほうがいい、という言われ方をする。
何もしない日ではない
避けることばかり書いたが、一粒万倍日は避ける日ではない。
向くとされることのほうが多い。
- 開業・開店
- 財布の使い始め
- 種銭を用意する
- 新しい習慣を始める
- 貯蓄用の口座に入金する
始めたいことがある日として使う。無ければ、何もしなくていい。月に数回あるので、次がすぐ来る。
覚えておく形
全部覚える必要は無い。ひとつだけ覚えておけば足りる。
増えてほしいものを始める。増えてほしくないものは始めない。
これで、個別の項目は自分で判断できる。買い物は増やしたいものか、借入は増やしたいものか。考えれば答えが出る。
今月やること
今月の一粒万倍日を、カレンダーで確認してみてほしい。
そのうえで、その日に「始めたいこと」がひとつあるかを考える。
無ければ、印はつけなくていい。以前年間カレンダーの作り方で書いたが、一粒万倍日を全部書き込むとカレンダーが真っ黒になって使えなくなる。
始めたいことがある月だけ、調べればいい。
✦ この記事のまとめ
一粒万倍日は一粒の籾が万倍になるという連想から来ています。同じ理屈で、借入や諍いなど増えてほしくないものにも働くとされます。
避けるとされるのは借入・保証・借り物・諍いの開始。ただし自分で日を選べないもの(引き落とし等)は対象外と考えるのが一般的です。



