兄弟姉妹とお金の話をしなければならない場面が、ある年齢から急に来る。

親の医療費。実家の維持。誰がどれだけ出すか、誰が動くか。

切り出し方でこじれることが、本当に多い。

実家で話さない

神崎は──私は神社と作法を扱う仕事をしているので、家の中の場のことをよく相談される──最初に言うのは、これになる。

実家では話さない。

理由は単純で、実家には過去がある。子どもの頃の役割が、その場で戻ってくる。

上の子が仕切り、下の子が黙る。あるいはその逆。大人同士の話し合いにならない。

親が同席していれば、なおさら決まらない。親の前では、誰も本音の金額を言えない。

外で会う。喫茶店でも、貸し会議室でもいい。場所を変えるだけで、話し方が変わる。

終わりの時刻を決める

もう一つ、場所と同じくらい効く。

何時までと決めてから始める。

終わりが無い話し合いは、疲れたほうが折れる形で終わる。折れたほうは納得していないので、次に持ち越される。

一時間、あるいは九十分。決めて、時間が来たら、決まっていなくても切る。

決まらなかったことを、決まらなかったまま持ち帰る。 これができると、次が続く。

初回は「何を決めるか」を決める

いちばんよくある失敗は、一度で全部決めようとすることになる。

金額、分担、名義、今後の役割。これを初回で出すと、必ずどこかで止まる。

初回にやるのは、議題を並べることだけでいい。

  • 何を決める必要があるか
  • いつまでに決める必要があるか
  • 誰が調べるか

決めるのは次回にする。並べただけでも、全員が同じものを見た状態になる。それだけで、次が別の温度になる。

日を選ぶなら

日取りの相談としてこの話が来ることがある。

吉日を使うこともできるが、家族の話し合いで先に見るのは、暦ではない。

全員が疲れていない日。

連休の最終日、法事の直後、年末。こうした日は避ける。感情が動いたあとに金額の話をすると、たいてい荒れる。

日中がいい。夜は判断が鈍る。酒を伴う席は避ける。

そのうえで動ける日が複数あるなら、暦で絞る。順番はこの向きになる。

記録を残す

話したことは、その日のうちに文字にする。

議事録という形でなくていい。決まったこと、決まらなかったこと、次に調べること。三行で足りる。

全員に送る。送ることで、認識のずれがその場で出る。

半年後に「そんな話はしていない」となるのが、いちばん消耗する。三行のメモが、それを防ぐ。

揉めたときの逃がし方

出るときは出る。

そのとき、その場で結論を出さない。

一度切って、日を置く。感情が乗った状態で決めたことは、あとで蒸し返される。

金額や名義に関わることは、公的な相談窓口や専門家に持っていく。身内だけで決めようとすると、決着したように見えて残る。

介護が始まる前の話し合いは別に書いたが、始まる前に一度やっておくと、始まってからの負担がかなり変わる。

今週やること

三つ。

ひとつ、話す場所を実家以外に決める。

ふたつ、終わりの時刻を決めて、先に伝える。

みっつ、初回は議題を並べるだけと決めておく。

決めるための会でなく、並べるための会にする。そのほうが、結果的に早く決まる。

✦ この記事のまとめ

兄弟姉妹のお金の話は、実家以外の場所で、終わりの時刻を決めて話すとこじれにくくなります。

一度で決めようとしないこと。初回は「何を決めるかを決める」だけにすると、次が続きます。