節約術を試して、続かなかったことがある人は多いと思う。
家計簿アプリ、先取り貯金、袋分け、固定費の見直し。どれも間違ってはいない。それでも続かない。
理由のひとつは単純だ。自分が漏らしていない場所を、締めようとしているからだ。
漏れていない蛇口をいくら締めても、水位は変わらない。
前回は、診断の4タイプ(NF・NT・SF・ST)で日々のヒントの見つけ方が変わるという話をした。今回は、お金に絞って見ていく。
なぜタイプで変わるのか
支出には、二種類ある。
必要だから出ていくお金と、その人の性質に沿って出ていくお金だ。
前者は誰でも似ている。家賃、光熱費、食費。後者が、人によってまるで違う。
そして、続かない節約術というのは、たいてい後者を無視している。
NF:共感で出ていく
人と気持ちのつながりを大事にするタイプ。
漏れやすい場所
- 人への贈り物、差し入れ、お祝い
- 誰かの役に立つと感じるものへの支出
- 相談を受けた相手への立て替え・貸し
- 「応援したい」という気持ちで買うもの
NFの支出は、たいてい他者が関わっている。だから本人にとっては、削る対象に見えにくい。削ることが冷たさに感じられるからだ。
止め方
金額を減らすのではなく、形を変えるほうが向いている。
贈り物をやめるのではなく、上限を先に決める。誰かを応援したいなら、お金以外の関わり方を一つ用意しておく。
「使わない」ではなく「こう使う」と決めるほうが、NFには続きやすい。
NT:最適化のために出ていく
仕組みや効率に関心が向くタイプ。
漏れやすい場所
- より良い環境を作るための道具・機材
- 学習・情報への投資
- 効率化のためのサービス契約
- 「長期的には得だから」という理由の先行支出
NTの支出には、必ず理屈がついている。だから本人は無駄遣いだと思っていない。実際、無駄ではないことも多い。
問題は、理屈が立つぶん、止める理由も見つからないことだ。
止め方
NTには、記録が効く。ただし家計簿ではなく、回収の検証として設計するといい。
半年前に「長期的には得」と考えて始めた契約が、実際に何を生んだか。使っていないなら止める。
理屈で始めたものは、理屈で止めるのがいちばん抵抗が少ない。
SF:場の空気で出ていく
その場の人間関係と居心地を大事にするタイプ。
漏れやすい場所
- 付き合いの飲食、参加費
- 場を和ませるための出費
- 断りにくい誘い
- 家族や身近な人のための細かな買い足し
SFの支出は、その場で決まることが多い。事前に計画された支出ではないので、家計簿をつけても後から把握しづらい。
止め方
SFには、その場で判断しない仕組みが向いている。
たとえば、月に参加する集まりの数を先に決めておく。誘われた時点では「予定を見て連絡する」とだけ答える。
その場で断るのは、SFにとって負荷が高い。判断を後ろにずらすだけで、かなり変わる。
ST:品質と効率に上乗せする
確実さと実用性を重んじるタイプ。
漏れやすい場所
- 良いものを長く使うための上位グレード
- 手間を減らすためのサービス
- 失敗しないための保険・保証
- まとめ買い、ストック
STの支出は、合理的で、たいてい正しい。良いものを長く使うのは、実際に経済的なことが多い。
漏れるとすれば、上位グレードの選択が積み重なったときだ。一件ごとの判断は正しくても、合計すると想定を超える。
止め方
STには、総額での管理が向いている。
一件ごとの是非を問うと、どれも正しいので削れない。カテゴリごとに年間の上限を決めて、その中で配分する。
判断の単位を、一件から一年に変える。
自分のタイプが分からないとき
4分類は傾向をまとめたものなので、複数に当てはまるのは自然だ。
タイプが特定できないときは、逆から入るといい。
この一か月で、後から「なんでこれ買ったんだろう」と思った支出を三つ書き出す。
その三つに共通しているものが、自分の漏れ方になる。
人が関わっていればNF寄り、理屈がついていればNT寄り、その場の流れで決めていればSF寄り、グレードの上乗せならST寄り。
今月やること
自分のタイプの「止め方」を、ひとつだけ試す。
四つ全部やらないこと。四つやると、たいてい一週間で終わる。
貯まらない理由は、意志の弱さではない。性質に合わない締め方をしていたというだけのことが、かなり多い。
診断結果タイプ別解説の第1回は、4タイプで読む日々のヒントの見つけ方です。まだの方はそちらから。
✦ この記事のまとめ
万人向けの節約術が続かないのは、タイプによってお金の漏れる場所が違うからです。漏れていない場所を締めても効果は出ません。
NFは共感による支出、NTは最適化のための先行投資、SFは付き合いと場の空気、STは効率と品質への上乗せ。止め方もタイプごとに変わります。



